'08戦争童話 キクちゃんとオオカミ

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ストーリー

昭和20年、満州−忘れてはいけない物語

満州、今の中国の一隅に狼がいた。若い時は、50匹以上の群れを率いて、狩りをしていた狼も、今は、年老いてなかなか餌をとる事が出来なかった。老いさらばえて醜態をさらすより、自殺を考えていたのだ。その時、満州国を追われた、日本人の一行に出会う。しかも女子供が中心の、一団だ。最後のごちそうだと、狼は後をつけた。

日本人の一行は、敵に襲われ、次第にバラバラになってしまう。そこで、狼はキクちゃんという4才の女の子と出会う。女の子は狼を自分の家にいた犬と間違え甘えてきたり、金平糖などをくれたのだ。狼は自分の子供を思い出し、キクちゃんを襲えなくなってしまった。

キクちゃんは話し始めた。日本が戦局を拡大し中国に領土を広げている頃にはよかったが、お父さんを戦争に取られ、ソ連が満州を攻めてくるようになると、もう日本に帰るより仕方が無かった。しかし、引き揚げはなかなか進まず、民間人も自力で脱出するしか無くなってしまったのだ。

貨車にギュウギュウ詰めにさせられ、でも途中の駅で降ろされ、歩いて港を目指していた。しかし老人と女子供が中心の団体は、満州人にいじめられ、やがてキクちゃんも、お母さんとはぐれてしまった。しかもどうやらキクの体も何かの病魔に冒されているらしい。

狼は優しいキクを見捨てる事が出来ずに、背中におぶい日本人達の行きそうな場所へ行く事にした。途中には、日本人の死体が山のように重なっていた。やがてキクの症状はさらに重くなり、体が燃えているようだ。キクはここで死んでしまうのだろうか。そして狼がとった行動とは。

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