'07戦争童話 ふたつの胡桃

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ストーリー

中西彩花12歳。同居する祖母や母親に小言を言われて、ようやく自分の飼い犬ライアンの散歩に出掛ける、ごく普通の小学六年生。

ライアンに引っ張られるように散歩する彩花は、近所のお寺の境内に入る。彩花は、傍らに立つ「戦災受難者慰霊碑」の解説の看板を読むともなく目で追うと、そこには、昭和20年3月10日未明に起きた東京大空襲について書かれていた。

だんだん空が暗くなり、ついに雨が降り始める。雷も鳴り出し、近くにあった電話ボックスの中に逃げ込む彩花とライアン。雷はどんどん近くなり、ついに電話ボックスに落ち、彩花は意識を失う。

ライアンの鳴き声で、気が付いた彩花は、周囲の様子がまったく違っているのに驚く。そこは、逃げ込んだ電話ボックスはおろか、ビル一つ見えない、木造家屋ばかりの下町であった。

通りかかった人々が、彩花の格好に眉をひそめる様子に、雷の衝撃で、タイムスリップしてしまったことに気が付く彩花。そして、人々は理不尽にも、ライアンを連れて行こうとする。

慌てて逃げ出した彩花は、友子という少女とその飼い犬のハナに助けられる。行き場のない彩花を家に連れて行く友子。

そこで、彩花は、タイムスリップした先が、昭和20年3月7日──、境内の看板に書かれた日付の直前であることに気が付くが、看板の詳しい内容は思い出せなかった。

母と弟と、身寄りがなくなった同級生の将吉と暮らす友子から、戦争のため、飼い犬まで供出させられることとなったと聞かされ、驚く彩花。

友子もまた、彩花が未来から来たと聞き驚くが、携帯電話からそのことを信じてくれた。行く当てのない彩花のことを心配してくれる友子。誰ひとり身寄りがなくなってしまった彩花を励まそうと、戦死した父が作ってくれた、対になった胡桃で作った鈴の一つを彩花にくれたのだ。

翌日、買い出しに行った途中で、ライアンとハナが捕らえられてしまう。が、夜陰に乗じて、役所に捕らえられたライアンとハナを助け出すことに成功した。もう二度と、ライアン離れたくないと想う彩花。

そして、タイムスリップした東京で、運命の昭和20年3月9日の夜を迎える彩花。

深夜──日付を越えたところで、空襲警報が鳴り響く。それが、3月10日の東京大空襲の始まりであることに気が付いた彩花は、友子たちや付近の住人同様に逃げ惑う。無数の焼夷弾に、次々と燃え上がる家々。そして、友子の母親や弟、将吉が死に、逃げ場を求めて人波に翻弄される彩花と友子、ライアンとハナ。ついには逃げ惑う人波に、引き裂かれる彩花と友子。

彩花は、お寺で落ち合おうと友子に声をかけ、互いの飼い犬と一緒に人波から逃れようとするが、家々を焼く猛火は人々もろとも二人を呑み込もうとしていた──。