アニメ作品の制作には、多く関わってきましたが、『あたしンち』は、僕にとっては特別な思いがあります。この作品は僕が初めてプロデューサーをつとめた(ただし、途中から)作品なのです。
『あたしンち』の中には、こんな家族の会話、ウチでもあるある! こんなお父さん、周りにもいるいる! みたいな「あるある!」や「いるいる!」がたくさんあります。これは僕の身内にもあてはまることで、『あたしンち』のお母さんを見ていると、僕の母にも似ているんですよ。(笑)
タチバナ家の家族全員、キャラが個性的で誰ひとりとして欠かせない登場人物ですが、僕が特に「いなきゃいけない」と思っているのは、実は「父」です。無口ですが、とても味わい深いキャラクターです。何かにたとえるなら、「調味料的な存在」でしょうか。「いい仕事してるなぁ」と声をかけてあげたくもなります。
人間模様としては、母とみかんのからみが面白いですね。みかんには、母との会話の中からも、しみちゃんとの会話の中からも、「女の人の考え方というものは、こういう感じなのか・・・」ということを教わってるような気がしますね(笑)。
シリーズがはじまって7年目に入った『あたしンち』ですが、僕の今の気持ちは「これから!」という思いです。これからもっとキャラクターたちの個性や魅力も輝いてくるだろうし、これからもっとアニメの中に、視聴者の方々との共通点も出てくると思います。そして、息の長いアニメ作品になって欲しいと願っています。
魁生 聡(かいしょう さとし)
『21エモン』『ジャングルはいつもハレのちグゥ』『クレヨンしんちゃん』の制作進行・制作デスクなどを経て、『アニメあたしンち』スタート時にアシスタントプロデューサーとして関わる。2004年からプロデューサーに。
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