野坂昭如 戦争童話集

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ストーリー

2002年制作
野坂昭如「戦争童話集」1 「ウミガメと少年」-沖縄編-

昔、ほんの少しだけ昔、日本は戦争をしていた。
昭和19年10月10日の那覇空襲で焼き出されたテツオは、浦添の集落にある伯母の家に、母と祖母と共に身を寄せ、その地の国民学校に転入する。

学校では町中から来たということで少々浮いていたテツオであったが、ようやくできた友達は、がき大将のノリオと、お兄さんが空襲で大怪我をして入院している花子である。
同級生たちとも一緒に遊べるようになり、テツオの記憶からは空襲の恐ろしさが薄れかかったようにみえた。

そんな中、花子の兄が死に、テツオは改めて、命のはかなさを思い知らされる。傷ついたテツオと花子の気持ちを慰めようと、ノリオは、二人を自分だけの内緒の秘密基地に案内する。
亀が産卵に寄る砂浜に程近い、海沿いの崖下に海水の侵食によって造られた洞窟「ガマ」である。
そこには、ジュゴンや海亀はじめ様々な海の生き物も出入りする生命豊かな場所だった。
そこで、一時、戦争を忘れたかに見えるテツオたち。

だが、戦火はのどかな田舎に見えた浦添にも迫っていた。

浦添の集落が空からの爆撃と、海からの艦砲射撃を受け、家々が焼け、畑が焼け、亀甲墓も破壊さ れ、逃げ惑う村人たち。家族たちとも離れ離れになったテツオは、ノリオと花子と出会う。
一緒に逃げようとする三人だったが、ノリオが、花子が倒れ、一人だけ残され、逃げる気力すら失ったテツオ。
だが、気が付けば、何とかノリオの秘密基地に逃げ込んでいた。

「ガマ」の中で、一人きり、飢えに苛まれながらも、辛うじて雨水と海草で命を繋ぎながら敵から 身を隠し続けるテツオ。

海からは断続的に艦砲射撃が続く中、ある夜、砂浜に海亀が上って来たのを見つけるテツオ。
涙を流しながら産卵する海亀を見守るテツオは、何としても卵の命を守りたいと思い、いつ砲撃されるかわからない砂浜から、海亀の卵を「ガマ」の中に卵を移そうと思いつく。
すべての卵を運び終え、暖かい砂を卵の上にかぶせようとしたそのとき、卵が一つ潰れているのに気づく。
呆然とその卵を見つめるテツオ。
もう孵らないその卵の中身を無我夢中ですすり始めるテツオ。

そして、一つ、また一つとカラごと卵をむさぼるテツオ ──。

── それから、どれだけ経ったのか、「ガマ」には今も変らぬ自然が息づいている。

テツオ
・テツオ
花子
・花子
ノリオ
・ノリオ
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