野坂昭如 戦争童話集

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小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話
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ストーリー

2004年制作
野坂昭如「戦争童話集」3 「小さい潜水艦に恋をしたでかすぎるクジラの話」

昭和20年、硫黄島が陥落、沖縄も侵攻され、十五・六の少年たちまでも、特攻機の飛行兵になる訓練に駆り出されていた頃、予科練の特攻機訓練所に、チビな少年、早野幸多がいた。幸多は、予科練生たちの世話をしている女学生、秋山好恵に好意を持ちながらその気持ちを伝えられなかった。

飛行訓練に出た幸多は飛行機を上手く飛ばせず教官に叱られていた。その時、幸多は海中を進む巨大な黒いものを発見。敵の潜水艦! と勇んだ幸多と教官は、攻撃をしようとするが、突然、それは海上へジャンプ ── 実はクジラであった。彼を避けようとして飛行機から海へ落ちる幸多。
飛行機は教官の操縦で、何とか墜落せずに済む。海中でサメに襲われかけた幸多を、クジラが水面へと救い上げてくれ、幸多は教官の操縦する飛行機に何とか戻ることができた。

幸多を助けたクジラのクー助は、間もなく開かれる年に一度のクジラたちのお見合い大パーティーの舞台となる虹の海を目指す途中だった。 今年初めて参加するクー助だが、大きくなり過ぎたことをひどく気にしていた。と言うのも、クジラの世界ではメスの方が大きくて、オスは小柄でスマートな方が好かれるからだ。せめて少しでもスマートになろうと、絶食しながら虹の海を目指すクー助。

虹の海に近づいたクー助は、虹の海の入り江を塞ぐように浮かぶ何隻もの巨大な戦艦に気が付いた。
艦隊は虹の海を挟んだその先の島に艦砲の先を向け、海中へ、その先の島へと、雨あられのように砲弾が降り注ぐ。既に虹の海にいたクジラたちは砲弾に次々と命を落とし、クー助だけが一人取り 残された。茫然となるクー助だが、空腹だったことを思い出し、虹の海を離れる。

一方、海に落ちた幸多はこの一件で小さな潜水艦に配属され、出港した。アメリカが広島に新型爆弾を落とし、日本が降伏すると伝える敵の通信を傍受する潜水艦。だが、乗組員たちは信じられず、日本軍からの連絡あるまでは再び進むことにした。

その潜水艦の姿を見かけたクー助は、自分の仲間の女の子だと思い込み、気を引こうと体当たりをしてくる。最初は敵の潜水艦だと思った幸多たちは、それがクジラで、前に幸多を助たクー助だと知る。
これも何かの縁と、潜水艦の乗組員たちは、いつか遺族の元に届くようにとクー助の尻尾に遺書託す。
だが、その時、敵駆逐艦が近づきつつあった。そのスクリュー音をキャッチして、慌てて海に潜る潜水艦。
それを、女の子がじらしていると思ったクー助が追って来る。駆逐艦をやり過ごそうと、海底の岩陰に身を潜める潜水艦に、じゃれつくクー助。

その音に気づき、爆雷を投下する駆逐艦。その狙った先は、クー助だった。一旦は逃げようとするが、女の子を助けに戻って来たところに、爆雷が命中して、クー助は幸多たちの潜水艦の目の前でバラバラになってしまった。潜水艦を撃破したと思った駆逐艦は遠ざかって行く。

そこへ、日本が降伏したという知らせが幸多たちの潜水艦に届く。クー助の身代わりのお陰で助かった幸多たちは、浮上して、海上に浮かぶクー助の遺体に向かって敬礼を捧げた ──。

幸多
・幸多
クー助
・クー助
好恵
・好恵
艦長
・艦長
教官
・教官
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