野坂昭如 戦争童話集

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ぼくの防空壕
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ストーリー

2005年制作
野坂昭如「戦争童話集」4 「ぼくの防空壕」

真夏の公園でたたずむ老人、笠松雄介は、六十数年前の幼い日々を思い出していた。
ユーちゃんと呼ばれていたそのころ ── 日本が戦争をしていた頃、ここに彼の家があったのだ。

昭和18年、軍部は国民に防空壕を造ることを奨励した。お父さんの哲雄が家の床下に防空壕を造るのをお手伝いするユーちゃん。赤紙が来て、自分が入ることのない防空壕を完成させ、出征していくお父さん。
そして、防空壕造りはお父さんとの最後の思い出になった。

やがて、防空壕に避難するようになったある日、敵機が上空を去ったのを確かめにお母さんが家に上った後、防空壕の壁からお父さんが出て来た。 驚きながらもユーちゃんがお父さんと防空壕の壁を通り抜けると、そこは砂漠だった。塹壕まで来たユーちゃんとお父さんは、目前の敵陣から数多くの戦車と兵が進んで来るのを発見。敵に向かって機関銃を撃ち始めたお父さんに、敵の進軍を知らせに行くよう頼まれ、元来た方へ戻るユーちゃんだが、防空壕でお母さんに起こされて目が覚めた。

ある日、お父さんの戦死公報が届いた。友達の洋平と釣りから帰って来たユーちゃんはお母さんにそう知らされても信じられず、防空壕に駆け込み、お父さんと叫ぶ。すると、壁の向こうから戦闘機に乗ったお父さんが現れ、ユーちゃんを操縦席に一緒に乗せて壁を通り抜け、大空へ連れて行ってくれる。海上の戦艦と激しい銃撃戦を展開し、鮮やかに戦艦を振り切る戦闘機。お母さんに起こされたユーちゃんは、防空壕の中ではいつでもお父さんに会えるのだと確信する。

お母さんが洋平の母と、農家に食べ物を分けてもらいに行く。留守の間、防空壕に入ったユーちゃんはお父さんとジャングルをかき分けて偵察に行った。密林で敵と遭遇し、頼もしく後方で敵を防いでくれるお父さんに逃がされたユーちゃんは、家でユーちゃんを呼ぶ洋平の声で目が覚める。上って行くと、お母さんがケガで入院したと聞かされ、慌てて病院へ。お母さんの無事を確かめるたユーちゃんはこのことをお父さんに知らせると病院を飛び出して行く。防空壕の壁に向かいお父さんを呼び、出て来たお父さんに事情を話すユーちゃん。お父さんはお母さんはユーちゃんだけが頼りだから頑張れと言う。また来てと頼むユーちゃんに、お父さんはいつでもユーちゃんの側にいると励ました。

そして、終戦の日を迎えた。戦争が終わって人々は喜び、ユーちゃんもお父さんに知らせに防空壕に行く。姿を現したお父さんは、まだお父さんの戦争は終わっていないが、会いたくなったらいつでも防空壕に来て呼ぶように言って、壁の向こうに戻って行った。

ユーちゃんとお母さんは伯父さんの家に引き取られることになり、迎えに来た伯父さんは家の中の防空壕に気が付くと、それを埋め始めた。どんどん埋まる防空壕。ユーちゃんはお父さんと会えなくなる悲しさに、戦争が続き、防空壕に入れれば、またお父さんと会えるのにと、残念に思う。

それから六十数年が過ぎたけれど、もしかしたらお父さんは地下の防空壕の壁の向こう側で、まだに戦争を続けているだ思う雄介。ユーちゃんは今でもお父さんと一緒にいたいのだ ──。

ゆうちゃん
・ゆうちゃん
笠松哲雄
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